生活習慣病について

糖尿病
私たちの血液中に含まれているブドウ糖の濃度を数値化したものが血糖値です。この血糖値は、健康な人でも食事の後は一時的に高くなります。ただし、健康な方の場合は、膵臓から分泌されるインスリンが働くことにより、血糖値はすぐに元の数値まで下がるようになります。しかし、糖尿病に罹患している患者さまや糖尿病予備群と診断された方では、インスリンが分泌されない、あるいは効きが悪いといった状態になるので、ブドウ糖は血液中でダブつくようになります。これによって血糖値は慢性的に上昇したままとなるのです。具体的には、空腹時血糖値が126mg/dL以上でHbA1c値が6.5%以上の場合などに診断されます。
なお、糖尿病には大きく2つのタイプがあります。ひとつめはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が自己免疫反応などによって破壊され、ほぼ分泌できない状態になってしまう「1型糖尿病」です。このタイプは、若い世代によく見受けられます。もうひとつは、日本人の全糖尿病患者さまの9割以上を占めるとされる「2型糖尿病」です。この場合は、日頃の不摂生な生活習慣によってインスリンの作用不足になり、血糖値が高い状態が続きます。治療に関していうと、1型の場合はインスリン注射が不可欠になります。一方、2型の場合は、多少なりともインスリンが分泌されていることが多いので、まずは生活習慣を見直し、血糖値を下げるお薬を服用します。
高血圧
正常な人の場合、安静時の収縮期血圧が130㎜Hg未満、拡張期血圧が85㎜Hg未満にとどまります。これよりも高い状態が長期間続いているときは、高血圧となります。高血圧になっても、初期の段階では目立った症状がみられません。しかし、血液が血管を通るときの圧力が高いため、徐々に動脈硬化が進行します。これによって脳梗塞や心筋梗塞、腎臓病などを引き起こしやすくなるので、なるべく早い段階で治療を開始することが大切です。具体的には、患者さまの状態を見極めたうえで、血圧を下げるお薬を服用します。
脂質異常症
脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常値を示す疾患です。具体的には、LDLコレステロールが140㎎/dl以上、中性脂肪(トリグリセライド)が150㎎/dl以上、HDLコレステロールが40㎎/dl未満の場合に診断されます。この病気も、自覚症状がほとんどないため、医療機関を受診せず、放置しているケースも多いようです。しかし、血管はダメージを受け続けているため、段々と動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などを突然発症することがあります。このような事態をまねかないよう、あらかじめ薬物療法などで脂質値を改善しておくことが重要です。
高尿酸血症
血液中に含まれる尿酸の濃度を数値化したものが「尿酸値(血清尿酸値)」です。高尿酸血症は、この数値が7.0mg/dL以上になってしまう病気です。この疾患は男性の患者数が多く、女性は少ないのが特徴です。ただし、女性でも閉経を迎えたあたりから、そのリスクは高くなっていきます。
高尿酸血症になっても目立った症状がみられません。しかし、高尿酸血症の状態になると、尿酸塩が作られ、足の親指の付け根などで結晶化するようになります。これに伴い、激痛を伴う痛風発作が起こりやすくなります。なお、痛風発作のピークは発症から24時間とされ、これといった治療をしなくても3~4日経過すれば症状は改善するようになります。ただし、高尿酸血症が治癒したわけではありません。きちんと治療を受けておかないと、何度も痛風発作が起こったり、尿路結石や腎障害のリスクが高まったりします。