膠原病とは

膠原病

膠原病は、全身の様々な部位に炎症や痛みが起こる自己免疫疾患のひとつです。
何かしらの原因によって自己免疫反応が働いてしまい、細胞と細胞をつなぐ結合組織が壊れていきます。これに伴い、関節部が痛んだり筋力が低下したりして、日常生活に支障をきたすようになります。

膠原病のなかには、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など、たくさんの病気があります。
下表のような症状がみられたときは、膠原病の可能性があるため、まずは当院を受診し、必要な検査を受けるようにしてください。

膠原病の主な症状

  • 微熱が繰り返される
  • なんとなく疲れやすくなった
  • 関節の節々が痛む
  • 関節部が硬くなっている
  • 関節が熱をもっている
  • 関節の辺りが痛い
  • 外傷を負ったわけではないのに筋肉が痛い
  • 筋力が低下してきた
  • 皮膚に紅斑や紫斑がみられる

など

膠原病の治療

膠原病には様々な種類があり、それぞれ治療内容が異なりますが、基本となるのは薬物療法です。
関節部などの痛みや腫れを抑えるため、非ステロイド抗炎症薬やステロイド薬、生物学的製剤、免疫抑制薬などを使用します。
多くの場合、膠原病を完治させることは難しいのですが、こうしたお薬を適正に使用することにより、症状を抑えることは十分に可能です。

膠原病の代表的な疾患

関節リウマチ

こちらをご覧ください。

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは、自己免疫の異常によって全身の様々な部位に炎症が起こる病気のひとつです。
男性も罹患しますが、圧倒的に女性の患者さまが多いといわれています。
とくに、20~40代の女性が発症しやすいです。膠原病というと関節リウマチをイメージされる方が多いようですが、全身性エリテマトーデスの患者さまもよくみられます。

この病気の詳しい原因は特定されていませんが、環境要因と遺伝的要因が指摘されています。
屋外での仕事をされている方、寒冷地にお住いの方、大きな手術をされた方はリスクが高くなります。また、ウイルス感染などがきっかけとなるケースもあります。

代表的な症状は、発熱や倦怠感といった全身症状ですが、そのほかにも多岐にわたる症状が起こります。
顔面に特徴的な発疹ができたり、関節部の腫れや痛みが強まったり、手足がむくんだりする方も多いです。患者さまによっては、うつ症状などがみられることもあります。

治療においては、症状を改善するための薬物療法が基本になります。

強皮症

強皮症は、皮膚や内臓の組織が硬くなってしまう病気です。
患者さまにもよりますが、初期の段階で手指の皮膚が硬化するため、医療機関を受診される方もいらっしゃいます。
ただし、放置されている方も多く、徐々に腕や顔など体の中心に向かって症状が広がっていきます。手指などが腫れあがり、その部位が硬くなってから受診されるケースも少なくありません。

なお、強皮症による症状は「皮膚の変化」だけではありません。実際には食道や肺といった臓器にも影響が及びます。食べ物が飲み込めない、慢性的に咳が出る、すぐに息切れがするといった症状が起こることもあるのです。
「胃腸や肺などに違和感を覚えたけれど、とくに異常が認められなかった」などのときは、念のため当院を受診し、必要な検査を受けるようお勧めいたします。

多発性筋炎・皮膚筋炎

多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋肉が炎症を起こしてしまい、徐々に筋肉が破壊されていく病気のひとつです。
進行するにつれて、手足や腰などの筋力が低下していき、日常生活にも支障をきたすようになります。
外出が困難になったり、消化管の機能が衰えて摂食がうまくできなくなるケースもあります。皮膚筋炎の場合には、まぶたや頬、首、胸、背中、肩、肘、足首などに赤い発疹などの皮膚症状も出現します。

なお、この病気は世代に関係なく発症しますが、とくに中高齢の女性に多いといわれています。
いずれにしても、早期発見・早期治療が重要です。